現実と理想の狭間で〜ゆりの日常 in London

イギリス・ロンドンに住んで4年目の日常。芸術と旅行が好き。

ルガンスキーのラフマニノフピアノ協奏曲第2番を最前列で聴いた@Royal Festival Hall

こんにちは。今日は演奏会レポです。かなり前の5月に予約していたルガンスキー大先生のラフマニノフコンチェルト第2番を聴きに、サウスバンクセンター(Southbank Centre)のロイヤルフェスティバルホール(Royal Festival Hall)に行ってきました。

 

ルガンスキーラフマニノフを愛する私の最もお気に入りのピアニストであす。大学生の頃は、ラフマニノフプロコフィエフチャイコフスキーを愛する音楽学生として、ルガンスキーは最も素晴らしいピアニストの1人だと思っていて、よく参考にCDを聴いていました。1度東京でピアノリサイタルに行ったことがあり、持っていたラフマニノフの楽譜にサインも頂いた経験があります。去年もバービカンセンターでの演奏会のチケットを予約していたのですが、急遽来られないということで代わりに同じくロシア出身のデニス・コジュヒン(Denis Kozhukhin)の演奏を聴きました。今年は嬉しいことに何度か来英していて、私は5月にウィグモアホール(Wigmore Hall)でのリサイタル、オックスフォードでのマスタークラスに行き、今回は念願だったピアノコンチェルトで、私にとって今年に入って3度目のルガンスキー生演奏でした。

 

プログラムと演奏

Lera Auerbach: Icarus
Rachmaninov: Piano Concerto No.2
Interval
Elgar: Symphony No.1

 

Royal Philharmonic Orchestra
Conductor: Vasily Petrenko 
Piano: Nikolai Lugansky

 

人生初めての最前列の真ん中の席


数ヶ月前の私、なにを思いついたのか、ピアニストに最も近い席を取ろうと最前列を2枚取ったらしく、それをすっかり忘れていた私(なんとなくいい席を購入した記憶はあったけどまさか最前列の真ん中とは思ってない)は、チケットの番号に促されて見つけた席見て驚き。笑😆 夫はこの席に見合った格好してない、その席に自分は見合わないみたいなこと言ってそわそわしていましたが、結果的に初めて弦楽器をそんなに近くで見れてダイナミックで楽しめたようです。

 

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まず、演奏の前に指揮者のヴァシリー(Vasily Petrenko)がマイク🎤を持って挨拶。今回のテーマのエルガーラフマニノフの生涯と曲の共通点を語ってくれました。エルガーのこの曲は1908年に作曲されていて、ラフマニノフの協奏曲第2番も1900~1年に作曲されていて、年代が比較的近いこと、両者ともイタリアでツアーや休日で作曲をしていた共通点があると話していました。また、ラフマニノフは初めての交響曲の評判が悪く、失敗したことからの悲しみや落ち込み、エルガーは長年交響曲を作曲しようとしていたが書けずにやっと完成した曲であるとのことも説明されていました。

 

最初の曲は現代作曲家のLera Auerbachが作曲したイカラス“Icarus”。指揮者の前にピアノがなく、私が座った席はまさに指揮者と同じ縦のラインのど真ん中。大迫力の数分間、現代クラシック音楽はなかなか個人的に聴きに行かないのですが、面白かったです。

 

 

ルガンスキーの登場・素晴らしいピアノに感動して泣きかけた

左に夫が座り、なぜか左2席が空席でした。Icarusが終わって、ピアノコンツェルト仕様に舞台レイアウトが変えられます。私が座っている席はステージの真ん中なので、ピアノのスタインウェイマークが目の前に来る位置。この休憩の間に、いかにもピアノオタク?のようなカジュアルな様相の男性が夫の左の空席に着席。まだもう一つの空席は空いていて、指揮者とピアニストが登場する直前にその人が一つ左にずれたので、夫が左の空席(もともとその男性が座ってた)に座る?と提案してくれて、結果2つ席を左にずれた感じに。(私の右側に座っていた方々も1個ずつ左にずれてました笑)そのおかげで、指の動きは見えないけれど、手首が見える位置までこれました。

 

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ルガンスキーが目の前に現れて、穏やかな笑顔を観客に向けてから着席、そこからの集中力のチェンジが顔に現れて吸い込まれるようでした。

 

ラフマニノフのコンチェルト第2番はやはり第1楽章の一番最初の鐘のようなパッセージが重要。ここで一気にラフマニノフの暗いようでとても美しいドラマチックな世界に引き込まれます。鐘のような和音の場面から細かいピアノの動きに移って、オーケストラのスローなメロディーが後ろから波のようについてくるのが、まさに完璧✨な美しさで、この響きはピアノだけれは表現できない、やはりオーケストラと一緒だからこそ際立つピアノの美しさだなと思わされました。

 

ラフマニノフって自分で練習すると(楽譜を見ると)複雑な和音だらけでたくさんの音が組み合わさっているのに、ルガンスキーの弾く音色はとても澄み渡っていてクリアです。こんなピアノを弾いてみたい、、と思いつつ、信じられないような練習の積み重ねと集中力と、素晴らしい耳の良さを持っているんだろうな、と思いました。

 

実はこの夏(8月)にオックスフォード大学の音楽学部で行われたルガンスキーのマスタークラスを聴きに行きに行きました。そこで生徒が同曲のピアノパートを弾いて、ルガンスキー大先生がオーケストラパートをピアノで弾いてコーチングをしていました。生徒が弾いた後にルガンスキーが見せる(聴かせる)ために10秒弾いても、何が違うのかはわからないのに、絶対に何かが違う。そしてすごく違う。生徒も本当に才能豊かでしたが、あの域に達すると耳の良さ(細かい聞き分け能力)で差がつくと思わされました。そして、その細かい聞き取れない違いが演奏を完全に変える。楽器って恐ろしい😨

 

この日のコンチェルトに戻りますと、私には語彙力が足りなさすぎて全く表現できないのですが、第3楽章の最後が圧巻でした。曲が終わる1〜2分前にオーケストラがぴたりと止んでピアノソロでとても速いパッセージがあり、オーケストラが戻ってきてクライマックス。最後の30秒間の人間とは思えない速さの動きに、目の前で何が起きているのか理解できないまま感動で目に涙が溜まったまま瞬きもせずに曲が終了しました。なんというか、、まさに衝撃的!という言葉が合う。最後まで聴きたい楽しみなのに終わってほしくない、不思議な気持ちでした。すでにまた彼のラフマニノフを聴きたい。(中毒か?)


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エルガー交響曲第1番

私はエルガーを生で聞いたことはなかったので、エルガーの出身地イギリスで、ロンドンの代表するオーケストラの演奏でエルガー交響曲を聴けるのは感慨深かったです。私のエルガーのイメージはPromsラストナイトの定番曲、『威風堂々』"Pomp and Circumstance"が最初に思いつきますが、ちゃんと彼のシンフォニーを聞いたことがなかったので、楽しみでした。

 

ラフマニノフとは一転、同じ時代に書かれたクラシック音楽にも関わらずやはり人が違い、育った場所が違うとこんなにも雰囲気が変わるのかと改めて感じました。イギリスっぽさ(もちろんイギリス出身のイメージが強いというのもあるが)を感じる。もちろんロシアの作曲家の雰囲気とは違う、ドラマチックながらも暖かさや田園地帯のような印象が浮かぶ。

 

初めて指揮者の動きを間近で見ました。オーケストラを知らない人たちからすると指揮者は必要なのか、何をやっているのかなんていう疑問が湧いてきそうですが、ペトレンコの指揮は本当にエネルギッシュで1時間弱にわたるこの交響曲も休みなくものすごい集中力で管楽器から弦楽器まで本当に器用に転がしていました。もちろん、演奏者たちは楽譜を目で追いながら弾いているのですが、指揮者のエネルギーはオーケストラの隅々まで届いているのが間違いない。

 

クラシック音楽尼強くない夫(意外といつもいいコメントをする)的には、エルガーはもっとポピュラー音楽的、エンターテイメントのようなドラマがあって楽しめたと話していました。前にブルックナー交響曲を一緒に聴きに行ったことがありますが、それより好きだったみたい。

 

 

あとがき

クラシックコンサートで初めて最前列に座りましたが、かなりいい!バレエなどと比べるとかなりお得にいい席をとれるので、オーケストラ定期的に聴きに行こうと思います。ルガンスキーはお気に入りのピアニストで間違いがない(?)演奏ですが、他にも若手のピアニストなども聴きに行きたい:)

 

なかなか演奏会のレビューって難しいなと思いました。笑 なので毎回はできないな😀 

 

ではまた🤝

 

 

 

 

 

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