現実と理想の狭間で〜ロンドンの日常

イギリス・ロンドン在住の20代。ロンドンで出会った夫と二人暮らし。芸術と旅行好き。本を楽しみたい。

アルベール・カミュ著『異邦人(L’Étranger)』

フランス人著者のアルベルト・カミュによる異邦人を読み終えた。そんなに長くない本で、一昨日読み始めて、今日の朝に読み終えた。私のKindleの端末だと、115ページほど。海外古典文学も結構短めな本がいっぱいあるのを知って、思っていたよりもハードルが高くない。

 

 

読書記録

タイトル:『異邦人((L’Étranger/The Stranger)』

著者:アルベール・カミュ/Albert Camus

出版社:新潮社

フォーマット:Kindle

読書期間:2025/09/11-2025/09/13

 

主人公のムルソーは穏やかというのか、あまり感情を表さない人で、話は一人称で語られるがかなり淡々と進む。本の一番最初の文が、ママンが死んだ、で始まるのは大きなインパクトを残す。内容に主人公による殺人が含まれることだけを知っていたので、めっきり憎しみかなんかで人を殺してしまうのかと思っていたら、殺した本人であるムルソーはただその状況に置かれたから人を殺してしまったというだけで、当の本人は犯人に対してや動機に特別な感情がないことが、面白くもあり、哀れでもある。その反面、ムルソーの周りの人は表情豊かで人間らしい。「どうでもいいことだった」「どうでもよかった」というフレーズがよくでてくる。ガールフレンドであるマリイから結婚をしたいかと聞かれた時も、「それはどうでもいいことだが」「そんなことは何の重要性もないことだが、君が望むのなら、一緒になっても構わない」と答える。何に対しても他人行儀で、彼自身の意見はほぼ何もない。(そして、こんな男性は夫には嫌だ、と思う笑)

私は実際何に興味があるかという点には、あまり確信がなかったが、何に興味がないかという点には、十分確信があったのだ。

終盤に出てくるこの文章は、ムルソーの性格をよくまとめていると思った。

 

第二部の死刑判決は衝撃的だった。お母さんが亡くなった時の彼の無感情に見える彼の性格がこんな災いをもたらすのかとびっくりした。当たった検事に運が悪かったと言えばいいのか。そして、小説の終わりはある意味途中で終わった感じで、死刑執行や特赦請願までが書かれていないのが、もやもやさせられると同時に、生々しい部分が書かれていないのである意味安心させられたような気がする。あらゆることに無関心である主人公のとくに特別ではない日常がたったの一瞬で変わってしまう、また、殺人は大罪だとは考えるが、このように普通の人がピストルを持って歩ける時代の、自己防衛ととれる殺人。死刑は重すぎる、と思うし、周りのムルソーの知り合いもそう考えただろう。そして、裁判の間中、ムルソーの知り合いは証人として出てくるが、被害者側の意見などは全くないのが、被害者側がアラビア人ということ、公平に裁判が行われていないということがわかる。裁判官が悪者に思える。この時代の裁判はこういうものなのだろうか。

この小説は実存主義文学(哲学小説)であり心理小説だと分類されるらしい。カミュサルトルと並んで「実存主義」と結びつけられることが多いとのことなので、またの機会にサルトルも読んでみたい。

古典らしいつまらなさ(これは私のただの誤解な可能性もあるが)も感じない。第一部は事件起きる前までの彼とまわりの人物の日常で、第二部がほぼ事件に関する裁判と綺麗に分かれているのが、宝塚の舞台などにふさわしそうな展開だな、なんて思った。

 

読書メモ(登場人物に関してなど)

ママンの住んでいた養老院はマランゴにある。ムルソーが住んでいるアルジェから80キロ。

門衛:64歳、養老院に来てから五年。パリっ子。困窮者として入ってきた。

マリイ・カルドナ:前まで事務所にいたタイピスト、葬式から帰ってきた日にたまたま海で会ってから交際が始まった、ムルソーのガールフレンド?

サラマノ老人:病気で毛が抜けて瘡蓋だらけのスパニエルを飼っている老人、お互い憎しみ合っている。口癖は「畜生、くたばり損ない奴」犬がいなくなったので罵りながらも探す。女房が死んでから飼った。

エマニュエル:発送部に働く同僚

レエモン・サンテス:同じ階に住む隣人、倉庫係らしい。小柄・拳闘家の鼻をしている。情婦と遊ぶのが好き。気に入った情婦(モール人)に裏切られて憤慨して、懲らしめた。その後情婦の兄と仲間のアラビア人から後をつけられている。

マソン:レエモンの友人、背丈も肩幅もがっしりとした大柄の男性と小柄な女房

セレスト:ムルソーの行きつけのレストランのオーナー

 

 

 

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