読書習慣、着実と身についてきている。そんな手応えがあります。読書を毎日することにして、4週目。今も、小説となんらかの実用本を数冊並行して進めていて、今回読んだのが、平野啓一郎著『本の読み方』。平野啓一郎さんはNHKでよくコメンテーターのような形でよくゲスト出演されていたので、私の乏しい日本の小説家についての知識の中で、すぐ顔を思い出せる数少ない1人です。といっても、まだ著書の『日蝕』『葬送』『マチネの終わりに』など一冊も読んだことないので気が引けますが、これから読むつもりでいます。
読書記録
タイトル:『本の読み方 スロー・リーディングの実践』
著者:平野啓一郎
フォーマット:Kindle Unlimited
読書期間:2025/08/20-08/22
この本は、初版が2006年に発行されて、国語の教科書に再録されたり学習教材に利用されたりもして、かなりの評価を得て何度も版を重ねてきた、らしい。タイトルが『本の読み方 スロー・リーディングの実践』であるが、どのようにゆっくり・深く本の内容を理解して読むか、それをどのような手筈で行うといいか、ということがよく書かれている。前に読んだ、斎藤孝著『読書する人だけがたどり着ける場所』と共通することも多い。この本ではとくに、その頃の「速読ブーム」に反対し、ゆっくり本を読むことの利点をよく論じている。私自身本を読むのが全然早い方ではない(と思っている)ので、自分の読み方だ、と共感した部分も多かった。
本は三部に分かれていて、第一部が「スロー・リーディング基礎編 量から質への転換を」、第二部が「スロー・リーディングテクニック編 魅力的な「誤読」のすすめ」、そして第三部が「スロー・リーディング実践編 古今のテクストを読む」。今回、読み終えたといっても、はじめの第一部と第二部のみを読んだ。第三部の実践編では、夏目漱石の『こころ』、森鴎外の『高瀬舟』、カフカ『橋』、三島由紀夫『金閣寺』、川端康成『伊豆の踊り子』、金原ひとみ『蛇にピアス』、自身の『葬送』、フーコー『性の歴史1 地への意思』の日本の純文学をメインに幅広い有名な文学を取り上げて、平野啓一郎であれば、どのように読むかが書かれている。私は恥ずかしながら夏目漱石の『こころ』以外読んだことがない。そして『こころ』も最後までしっかり読んだかどうか定かではないくらい、テレビやアニメなどから内容はだいたい覚えているので、本からの記憶がどれくらい確かなものか微妙なものだ。本自体を読む前に、先に分析されたものを読んでしまってはなんか勿体無いし、本を読まずに勝手に読んだ気になってもしょうがないような気がするので、第三部で取り上げられている本を、頭の中の”今後の読書するべきリスト”に保管して覚えておいて、それらを読み終えた時にこの本に戻ってこようと思っている。まずは『こころ』をもう10数年ぶりに読み直したい。
本の内容は、結構他の本で他の著者が書いていたことと似ているのもあり、そんなに目新しいことはなかったが、すごく読みやすく書かれていて、また、なぜ著者がこう思っているのか、本を書く著者目線の視点や、時代によって変化してきた本の読み方などで理由が述べられていて理解がしやすい。また、この本でも本を読んだ後のアウトプットを強く推奨していたので、私も積極的にこのようにブログ記事にしたり、家族に読んだ本の内容を伝えたり、などしていきたい。
”読書というのは読み終わった時点で終わりではなく、読み終わった時にこそ本当に始まる。自分なりに考え感じたことをどう活かしていくか、そこで読書が意味を持つ”、これは結構強いメッセージだな、と思った。
この本からのメモ
・常に溢れている時代だからこそ、意識的にゆっくりと本を読み思索する時間を持つ必要がかつてないほどに高まっている
・遅読でも必要な本は十分に読めるし、少なくとも生きていく上で使える本が増え、思考や会話に着実に反映される
・著者として「いつまでもこの世界に浸っていたい」と感じてもらえるような作品を書きたい。書き手はゆっくり読んでもらえる前提で書いている
・本当の読書は表面的な知識で人を飾るのではなく、内面から人を変え、思慮深さと賢明さをもたらし人間性に深みを与える。
・量よりも質、網羅型の読書ではなく選択的読書への発想の転換
・作者の視点で本を読むと実際に自分が言葉を発する際に威力を発揮する、相手を説得する状況でどういう言葉が効果的か、単に相手を一時的に納得させるだけではなく自分の本当に伝えたいことを理解してもらうためにどうすべきかを考える道具になる
・国語テストの作者とは誰なのか?本文の作者ではなく、問題作成者であり、本文と設問を一続きの文章として読むことにしたら瞬く間にテストの成績が上がった
・相手の主張を正確に理解する癖をつければ、議論をしないといけない状況でも冷静な対処ができる。まずは相手の主張を丁寧に要約し余裕があれば不完全なところを補い、その後でしかしと反論の主張を展開する
・スローリーディングは五年後十年後のための読書で次の日のための読書ではない
・読書というのは読み終わった時点で終わりではなく、読み終わった時にこそ本当に始まる。自分なりに考え感じたことをどう活かしていくか、そこで読書が意味を持つ
・なぜ小説は速読できないのか。小説には様々なノイズがある、一見どうでもいいような設定や細かい情景の描写、登場人物の些細な仕草など、細部にこそ目を凝らすべき。
・知人たちが何年、何十年とかけて考えたことをどうして私たちが1時間や2時間の飛ばし読みで理解できるだろうか?
テクニック編
・文章の上手い人と下手な人の違いは助詞、助動詞の使い方にある。例:「私はリンゴが好きである」と「私はリンゴが好きではある」前者は断定、後者は若干の留保があり、(が…)と続く何かがほのめかされている。文章が上手くなりたい人は好きな作家の助詞や助動詞の使い方に注意しながら読むといい。リズム・説得力がよくなる
・辞書癖をつける、特に漢字は意味の想像がついてしまうのでわかったつもりで読み進めていくととんでもない間違った理解をしていることもある
・小説でもエッセイでも論文でも「こう読んでもらいたい」という作者の意図は必ずあるが、ある程度の読者の読みの自由も想定されている。「貧しい誤読」と「豊かな誤読」文化は伝播過程の誤読力によって豊かになり、本も同じ。
・「なぜ、どうして」という疑問を持つ良書にはどんなものにでも謎はある。深みのある読書体験するために重要。そういった疑問を持った人にだけ本はこっそりとその秘密を語り始める。読者が本を選ぶように、本も読者を選ぶ。
・前のページに戻って確認する。人間の短期的情報処理力「ワーキングメモリ」の容量は想像されていたより小さい。登場人物の名前や特徴など忘れたらその都度前のページに戻ればいい。
・ある作家のある一つの作品の背後には、さらに途方もなく広大な言葉の世界が広がっている。一つの作品を支えているのは、それまでの文学や哲学、宗教、歴史などの積み重ね。
・音読ではなく黙読。
・人に話すことを想定して読む。読後に誰かに説明することを前提に本を読むと、分からない部分は読み返すようになり、理解する能力も高まる。読書の感想をSNSに書くのもいい。
・複数の本を比較する。同じ作家の作品の違いや別の作家が似たようなことを書いてたりすることをじっくり比較する
・気になる箇所に線を引いたりマークをつけると内容の理解が深まる。接続詞(特に「しかし」)に印をつける
・自分だったらどうするだろう?と考える、主体的に参加する読書の方法。
・五年後、十年後に読み返してみる。印象の変化を通じて自分自身の成長を感じることができる
これまでに読んだ読書に関する本
