ずっと読書の習慣を作りたいと何度もトライしてきたが、結局三日坊主のようなことがここ数年ずっと続いていた。ずっと英語の本やノンフィクションの本にこだわってきて、ふとフィクションを全く読んでいないことに気づいた。もう10年以上ぶりかもしれないが、とても久しぶりに日本語の、日本語作家の小説を読んでみることにした。最近ロンドンにあるカフェで”Convenience Store Woman”を見かけて、あ、日本人の著者の本だと思ったのを思い出して、調べてみたら芥川賞受賞作であると同時に、いろんな人が読書初心者の人にもおすすめしているのを読んだので、これから始めてみることにした。もちろん、日本語で。
本のレビューするのは初めてだし、映画レビューと同じであまりに細かく書き出すと後々負担になってしまうので、軽く思ったことをメモしたい。
160ページ前後という短い小説で、話が淡々と進みとても読みやすかった。すごく久しぶりのちゃんとした読書だったが4日で読み終えた。読書時間自体はおそらく合計2時間くらいか。話の半ばまでは主人公の古倉さんについてどんな状況なのか、過去にどんなことがあったかなどがほとんどで、いつ展開が来るのかとも思ったが、話の4分の3を読み進めたあたりでは、いろんなことを考えさせられるようになった。
「人間」とはなにか。「普通」とはなにか。とくに、コンビニの店長が「人間は仕事もしくは家庭のどちらかで社会に所属するのが義務、そうでなければ人生終了であり、社会のお荷物」といったのが、強く残った。また、古倉さんの地元も友達の集まりでの周りからの圧が、いやこんなにあからさまにいう人たちっているか、失礼な人たちだな、なんて思いながらも、はっきりとその光景を想像できる自分にも気づいた。私自身も直接声には出さずとも、この人たちと同じような疑問や偏見を古倉さんのような人に対して内心考えてしまうかもしれない。皆の中にある「普通の人間」という架空の生き物を演じる、というのはあながち間違っていないのかと思う。ただ、それをあまり難なくしている人たちと、難しさを感じながらやっている人たちがいるのかもしれないと思った。最後に、たとえ「コンビニ定員」であろうとも、主人公が自分のあるべき姿、生きていく理由のようなものを理解したことにはなんとなく安心したような、応援したくなるような気持ちになった。たしかに、よく’普通’の「人間」が思う”理想”とはかけ離れているかもしれないが、生きる理由や目的を見出せないままフラフラと流れにのって生きている人も多い社会で、それをわかった古倉さんはある角度から見れば幸せ者なんじゃないかと思える。
いい体験だったので、こんな感じで引き続き読書を続けていきたい。イギリス大手出版社のPenguinによれば 英国で最も人気のある翻訳文学は日本の小説であり、昨年イギリスで販売された翻訳小説200万作品のうち、全体の4分の1(トップセラーの半分)が日本の作品だったそう。そんなに世界で知られている日本の小説をもっと読んでいきたいと思う。
